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「序章」by嵯峨さん


 それは、遠い昔実在した勇者の話である。
今では忘れられているがそれは確かに存在したのだ。
 ここではそのおとぎ話の冒頭を紹介しよう、、、。

 夜、人が最も恐れる時。その恐怖から護ってくれていた 存在、月。
 その夜、月は地球を裏切った、、、。

 それは鳥に見えた。それは月からの使者だった。 地を這う者に絶望を植え付けるべく送り込まれた青い烏。

         
「アインハンダー」


 地上の者はそれをそう呼んだ。

 けたたましい金切り声が帝都中心街に鳴り響いた。 治安警察のパトロールマシン「シャーベ」のパトライトが 赤く光る。それはガイアが招かれざる者に対する警告の 視線のようにも見えた。
 それを無視した者には、いや、それと目を合わせた者 には天罰を。それがこの聖地(エデン)のルールだった、 、、。

 「目標確認。ただちに攻撃に移る。愚かなる異教徒に太 陽の慈悲あれ」
 夜空に火線が飛び交う。月から降りたった一羽の烏は 悠々とそれを避ける。お返しとばかりに治安警察の輸送機 「ウーフ」に20ミリ機関銃を叩き込んだ。装甲は爆ぜ飛 び、剥き出しのコアになったアインハンダーの爪が握りつ ぶす。
 −機体下部から伸び出ている戦闘用マニュピレーター。 アインハンダーをアインハンダーたらしめているものであ り、地球の者達を恐怖に陥れる根源。
 今それは、先ほどのウーフが装備していたカノンを握っ ていた。奪ったのだ。己の武器が逆に己に向けられる。 己の殺意を鏡のように己に返す青き死神は、あとは アトランダムにカノンを撃ち続けるだけだ。弾が切れたの ならばまた奪えばいい。
 この戦慄はあの無慈悲な使者を完全滅殺せねば収まらな いだろう。そのアンビバレンスはこの戦場を一層狂気じみ たものに変えていた。

 一瞬、静寂が訪れた。アインハンダーはその乗り手に 叫んだ。
 「ここに留まるな。ここは危険だ」と。
 刹那、その空間に青い奔流。
 回避が遅れていればやられていた。発射源には青い なにかがいた。
 治安警察の両の手を持つ守護者、「グライフ」。 グライフはレールカノンの銃口をアインハンダーに 向けた。
 青き守護者と青き死神の争い。それは、これから先に 起こることから見れば、あまりにも些細なことだった、、。



 分かり辛いところもあったので補足。
 冒頭ではアインのことを勇者と語り、途中では死神と呼 んでいるのは、アイン2で語り継がれていた前大戦の忘れ られたお話というこというわけで、戦争を終わらせた勇者 、戦時中は死をばらまく死神としました。
 敵パイロットの台詞、太陽の慈悲あれ。これは自分の 創造です。こんなこと言ってなかったかも。一応ヒュペリ オンの言葉とかけています。
 アンビバレンス。一つのものに対し、相反する感情を もつこと。どちらかが使用することによりにどちらかに死 をもたらす兵器を意識してのことですが、正しい使い方か どうかはわかりません。

 あ、あとなんかやたらグライフが強そうなのは気にしな いでください。演出ですから(笑)